鎌倉幕府 初めての武家政権 - 中学生のための、よくわかる歴史
中世~近世
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鎌倉幕府 初めての武家政権

yamamira
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立ち上がる源氏

平治の乱以降、各地に散らばってしまった源氏武士たち。
源氏武士はいずれ来る源氏再興の時を待っていました。
彼らに一筋の光を与えた者、それは源頼朝と牛若丸兄弟の存命でした。
いずれ来る源氏再興のチャンス。
そしてそれに呼応するように源氏頭領の頼朝と牛若丸が立ち上がれば必ず勝てる。
そう信じていた彼らに、とうとうその機会は訪れます。

後白河法皇の子、以仁王(もちひとおう)が平氏討伐の兵をあげたのです。

あまりにも強大になった平氏。
そして横柄な態度も裏目に出てしまい、打倒平氏の動きが活発になったのです。

そこで以仁王の挙兵があったんですね。

そこに頼朝と牛若が合流したんだね!

実際は、挙兵後すぐに以仁王は平氏に負けて亡くなってしまいます。

え!?じゃあダメじゃん!

ところが、これをきっかけにいよいよ源頼朝が立ち上がりました。するとそれに呼応するかのように、各地の源氏武士、平氏に不満を持つ奈良の僧兵、そして大きな集団として、木曽(きそ)の源義仲の軍が一斉に兵を起こしたのです。

すごい!じゃあ、牛若丸も?

はい。その時、牛若丸は元服し、源義経(よしつね)と名乗り、平泉から兄、頼朝の元に向かいます。

心待ちにしてたんだろうなあ牛若丸!!

開戦!源平合戦

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頼朝は富士川付近(静岡県と山梨県を流れ太平洋にそそぐ川)に布陣します。
そこで平氏の軍と対峙(たいじ)しますが、夜中に何かの物音で驚いた水鳥が一斉に飛び立つと、平氏の軍は一目散に逃げていってしまいました。
源氏の夜襲だと思ったのです。
この平氏の情けない姿を見て、源氏の士気は大いに上がりました。

そのような時に現れたのが、源義経です。
一度も会ったこともない兄弟が、源氏再興のために立ち上がり、運命の出会いを果たしたのです。

どちらも亡くなっていたかもしれないのに・・・。本当に嬉しかったでしょうね。

どんな思いで岩手から静岡まで駆けつけたんだろうね。

兄弟一致団結、打倒平氏、源氏再興を誓いました。

平清盛は複雑だったでしょうね。自分が生かしてしまった二人が強敵として現れるなんて・・・。

清盛は怒りました。そこで奈良の僧兵たちへの見せしめに、東大寺と大仏を燃やしてしまったのです。

え!?あの聖武天皇が作った大仏を?

しかし、その悪行が祟ったのか、清盛は重い病気になってしまい亡くなってしまいます。

後悔したろうなー。二人を生かしたこと。

平清盛が成し遂げたことは、並大抵のことではありませんでした。
元々は荘園、貴族の屋敷などを護衛する武士と言う身分
天皇や貴族とは共に歩くことなど許されもしなかった武士
その武士が律令体制トップの太政大臣にまで上り詰めたこと。
多くの武士に夢と希望を与えた清盛の功績は、とても偉大なものでした。

ここで、源義経の出番です。

牛若丸だね!

清盛が亡き後、都で平氏を追い払った源義仲が、乱暴狼藉(らんぼうろうぜき)を働き、後白河法皇の怒りに触れたのです。
後白河法皇は頼朝に義仲を討つように命じます。

そこで義経が出陣したんですね。

義経の戦上手は天才的でした。義仲を討ってすぐに、一の谷にいた平氏を四国に追い払ったのです。
その戦いが、驚くべきものでした。

崖の上から平氏の陣を見下ろした義経。
地元の人から聞くと、その崖は鹿は降りるが馬が降りるのは見たことがないとのことでした。
しかし、「鹿がおりて馬が降りられないわけがない」と義経は言い放ち、義経の軍勢は馬にまたがり一気に崖下に駆けおりたのです。
平氏は大慌てに船に乗り込み、四国へ逃げてしまいました。

すごい!義経かっこいい!

ところが、ここでまずいことが起きてしまいました。

まずいこと?

初陣(ういじん)から華々しい活躍をする牛若丸に対し、後白河法皇は検非違使(けびいし)と言う役目を与えたのです。

けびいし?

検非違使とは、都の治安を守る役目です。警察官のようなものです。

すごいことではないのですか?どうしてまずいんですか?

この役目を、義経は安易に受けてしまったのです。頼朝の許可なしに。

確かに義経の活躍は目を見張るものがありました。
しかし、頼朝の許可を得ずに検非違使の役を受けたことで、義経は頼朝の怒りを買うことになります。

実際は、ここには後白河法皇の巧みなたくらみがあったと言われています。
源氏で最も勢いの良い義経を手なずけ、頼朝との仲を裂いてしまおうと言うものでした。
源氏が平氏を討伐したあと、源氏の力が強くなることを恐れたのです。

せっかく再会を果たしたのに・・・。

悪いこと思いつくなー。

壇ノ浦の戦い

その後、義経の軍は破竹の勢いで平氏を追い詰めます。
山口県下関の壇ノ浦に平氏を追い詰めます。

壇ノ浦の戦い・・・平氏滅亡の戦いですね。

壇ノ浦は洋上決戦です。
海上戦は平氏の得意とするものでしたが、周囲の拠点も制圧され、完全に逃げ場を封じられた平氏には滅亡の道しか残されていませんでした。

作戦的にも源氏が勝っていたんですね。

清盛の妻、二位尼(にいのあま)と安徳天皇(8歳)は、その時洋上の船にいました。
もはやこれまでと悟った二位尼は安徳天皇と共に海に身を投げます。

え!?死んじゃったの?

一説によると、二位尼は一命を取りとめたとありますが、定かではありません。
しかし、安徳天皇はそこで亡くなられています。

ひどい・・・。8歳の子がそんな目にあうなんて・・・。

「帝(みかど)、これから海の下にあると言う都、極楽浄土へ共に向かいましょう」
そう言って、海に身を投げたと伝えられています。

残酷だな・・・。

こうして壇ノ浦は源氏の勝利に終わり、平氏は滅亡してしまいました。

平安時代は貴族の時代でした。
貴族の時代、武士は身分の低い仕える者でした。
武士として生きる限り、貴族と肩を並べることはない。
そのような消失感とともに生きた時代、夢と希望を与えた平氏と源氏

平氏は滅亡しましたが、ここからその夢を紡いだ武士たちが活躍して行きます。

武士の時代の幕開けが今、始まります。

鎌倉幕府

平氏が滅亡し、明るみになったのは、頼朝と義経の確執です。

やっぱり争うんですね。平氏を倒したから仲良くとはいかないんですね。

後白河法皇の策があたったのか、頼朝と義経は争うようになります。
しかし、勢力としては圧倒的に頼朝が上です。
義経は再起を図るために軍の立て直しをしようとします。

と言っても周りが頼朝の兵ばかりじゃどうしようもないよね。

意を決して、義経一行は頼朝軍に捕まらないように、山伏に変装してある場所へ向かいました。

あ、わかった!困った時の・・・

奥州藤原氏だ!

義経一行は、頼朝の追っ手を逃れるために、京都から奥州を目指しました。
身元がばれれば即座に捕えられる危険な逃走劇です。
そのため義経一行は、山伏に姿を変え、険しい道を進みながら奥州藤原氏の館にたどり着きます。
平泉です。

第3代奥州藤原家当主、藤原秀衡(ふじわらのひでひら)は熱く義経一行を迎えました。
奥州藤原氏は、特産品の金や馬で栄えてきた一族です。
源平の争いの間も、じっと静観し、力を温存してきました。

藤原秀衡は冷静沈着、剛の者と言われ、頼朝が恐れていた男でもあります。
義経が平泉に逃げ込んだことで、頼朝はうかつに手を出せなくなってしまいました。

しかし、悲劇はすぐに起こります。藤原秀衡は静かに息を引き取ってしまうのです。
当時、推定60後半の秀衡は当時としては長寿の部類に入るのかもしれません。

秀衡の死後、第4代の藤原泰衡(やすひら)は頼朝の圧力に押されてしまいます。

「義経を差し出せば、奥州藤原氏には手を出さず、領土も安堵する」

その頼朝の言葉にまんまと乗せられた泰衡は、義経を攻め自害させてしまいました。

秀衡、義経がいない藤原家にもはや恐れる者はいません。

頼朝に攻め込まれ、奥州藤原氏はあっけなく滅亡してしまいました。

前九年・後三年の合戦後から約100年続いた名門奥州藤原家は、秀衡・義経の死とともに滅亡への道を進んだのです。

このあたりは、以下の記事もご参照ください。

各地に伝わる牛若丸伝説 鞍馬山天狗(くらまやまてんぐ) 平治の乱で源氏が敗北した際、幼い頼朝は伊豆に流されました。赤子だった牛若丸は将来僧になると言う約...

ぐすっ・・。義経かわいそう。

同じ兄弟なのにね・・・。

頼朝は、知っていたのかもしれません。甘さが国を滅ぼすことを。
自分と牛若丸が情けで生かされたことにより、平氏は滅んだのです。

甘さを捨てて鬼にならなければと思ったのかもしれませんね。

それにしても義経はかわいそうだよ。

そうですね。でも、平和な世の中を築くために、自分の心を鬼にしなければならなかった。
そのような頼朝の気持ちもわかる気がします。

後白河法皇が亡くなり、頼朝は征夷大将軍に任じられます。
全国を統一した源頼朝は、鎌倉に幕府を開き、日本史上初の武家政権を誕生させたのです。

幕府=征夷大将軍を長とする武家政権のこと

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