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おもしろすぎる古事記の世界②

おもしろすぎる古事記の世界①では、古事記とは何か?について解説してきました

古事記の世界

第2弾は古事記の内容に触れていきます

日本において、古事記は歴史書でありながら聖書の役割を果たしてきた書物です

その意味では、古事記はユダヤ人の旧約聖書に通ずるものがあります

世界のはじまりの描写や、その後の自民族のルーツへ迫る展開も非常に似ているのは単なる偶然なのでしょうか

旧約聖書は紀元前4世紀頃に編纂されたものであり、古事記は西暦700年代に編纂されたものです

その差からして

古事記旧約聖書を真似たものではないか?

という見解もありそうですが、古事記編纂当時は、日本は仏教色に溢れる時代です

しかもその仏教は、庶民のための仏教ではなく、鎮護国家の意味合いが強い貴族のための宗教です

そのような背景を考えても、旧約聖書が当時の日本に影響を与えたとは実に考えにくいことです

古事記旧約聖書の奇妙な一致

偶然と考えれば確かに奇妙なことですが、ユダヤ人も日本人も世界のはじまりを同じように認識していたと考えれば、それは奇妙でも不可思議なことでもなくただの事実を述べているに過ぎません

そこから導かれる答えはただひとつ

彼らは何かを知っていた

結局そこに行き着くのです

これらのことから、私は古事記の信ぴょう性を強く信じますし、太古の昔は、私たちが思うよりもはるかに神秘的なものに包まれていたのではないかと思いを馳せてしまうのです

さて、前置きが長くなりましたが古事記シリーズの第二弾にまいりましょう

地球そして日本誕生、八百万(やおよろず)の神々の登場です

地球の誕生

西暦712年の段階で、既に日本人(一部の有識層に限られますが)は宇宙そのものをとして認識していました

古事記上巻の冒頭は造化三神という三柱(みはしら)の神様の登場から始まります

3人の神様は次々に世界を生みだしていきます

その3人の神様は

天御中主神(アメノミナカヌシ)

高皇産霊神(タカミムスビノカミ)

神皇産霊神(カミムスビノカミ)

です

難解になってしまうので、以後はカタカナ表記に統一します

シリーズの1回目でお話ししたように、カミムスビノカミ生成の神、すなわちビッグバンそのものです

宇宙のはじまりです

アメノミナカヌシは天をつかさどる神です

タカミムスビノカミカミムスビノカミが生みだした数々の宇宙(私たちが認識している宇宙は、科学的にも無数に存在する宇宙のひとつにしかすぎません)の運行を司る神です

アメノミナカヌシは旧約聖書の唯一神ヤファエと同列の神様と言えます

同列と言うよりも、ヤファエとアメノミナカヌシは同一と言ったほうが正解でしょう

文化や言葉の違いから、呼び名が違うだけです

さて、それら3人の神様は、天の神様であり単独神です

単独神とは性別がない神様です

この後、時間と言う概念が生まれ、約50億年前に一つの宇宙の中に太陽系が誕生しました

そして46億年前地球が誕生しました

ここから先は、天と切り離された地上の神様が生まれていきます

天の神様と区別され、地上の神様は別天神(ことあまつかみ)と呼ばれます

魂、そして八百万の神々

日本の神様は、すべての物事、現象に宿ります

風、火、水、至るところに神様は存在していると考えます

それらは八百万(やおよろず)の神々と呼ばれ、欧米の唯一の神を崇拝する一神教とは大きく異なる部分です

万物に神は宿りますから、もちろん地球そのものの神も存在します

そして、意識にも神は宿ります

意識の神様は、次々に意識体を生みだしました

の誕生です

誕生したての地球は灼熱地獄でした

マグマの海がドロドロとうごめいている、地獄の世界でした

とても生命が生まれる余地はありません

そこに突如雨が降り始めます

雨の神様の登場です

その雨はなんと5億年も降り注ぎました!

気の遠くなるような年月ですね

5億年降り注いだ雨によって、地球は十分に冷却されました

さらに原始の海が誕生し、生命誕生へとつながっていきます

生命誕生の頃と同時期に、対(ペア)の神様が誕生します

対(ペア)の神様とはつまり男と女ということです

地球上では、徐々にコケ類や細菌類が誕生し、植物が光合成を行い酸素を生みだしていきました

現在の地球のように生命が活動できる状況を、徐々に形成し始めたのです

地球上に生命が活動できる十分な量の酸素がもたらされたころ、水中から陸地へと生態を変える動物が誕生しました

環境に合わせて進化していったのです

約3億年前になると、苦手な人が多いゴキブリも誕生します

彼らは地球史で言えば私達人間の大先輩なのです

さて、陸地で生活する生物が増えた頃、地球上の大陸はひとつの塊でしかありませんでした

現在で言うアメリカ大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸といった5大陸に分かれていくのはだいぶ後の話です

長い年月をかけて、時には氷河期なども経験しながら、地球の陸地は様相を変えていきます

現在の形に落ち着くまでは、当然水没してしまった陸地もあるでしょうし、新たに出現した陸地もあるでしょう

ムー大陸やアトランティスなども、あながち空想の世界ではなく実在したものなのかもしれませんね

イザナギ、イザナミ

さて、時は流れ1億2000年前

十分に地球上で生命が生きていく条件がクリアされたころの話です

天の3人の神様は地球上に国を作るように対の神様に命じます

その対の神様はおそらく誰もが耳にしたことがある

伊弉諾神(イザナギノカミ)伊弉冉神(イザナミノカミ)です

その当時の海は、まだ脂が漂うようなどろどろの海でした

イザナギイザナミは、まず自分たちの拠点とする島作りを始めます

二人は、授かった天沼矛(あまぬまのほこ)で脂でドロドロとした海をかき混ぜます

矛を海中から引き上げると、矛先から滴り落ちた先から生まれたのがオノゴロ島です

このオノゴロ島は実在していて、瀬戸内海の淡路島の近くにあります

イザナギとイザナミの国造りは、日本の島々を造ることから始まります

二人はオノゴロ島に降り立つと、天御柱(あまのみはしら)を建て、豪華な御殿を建てました

立派な御殿を建てた二人は、子作りを始めていきます

最初の子作りは島作りです

こうして生まれたのが最初の島、淡路島(あわじしま)です

次に四国、隠岐、九州、壱岐、対馬、佐渡、そして本州を生みだしていきます

日本は八つの島から成り立つため(当時北海道は組み込まれていなかった)大八島(おおやしま)の国とも呼ばれました

神生みとイザナミの死

無事に国生みを終えた二人は、今度は神生みを始めていきます

石の神、木の神、風の神、土の神・・あらゆる神様を生みだしていきます

自然界にあるすべての現象や事物に神様が生まれていきます

こうして八百万の神(やおよろずのかみ)が賑やかに活動し始めます

イザナミはさらに様々な神を生み出します

ところが、最後に火の神を生んだ際に、イザナミは陰部に大やけどを負ってしまいました

傷に苦しむイザナミは、苦痛からもだえ苦しみ糞尿を垂れ流してしまいました

すると糞尿の神々が生まれます

一見すると、なぜこのような描写がなされたのか不思議な気がします

しかし、実はここには大切なメッセージが込められています

イザナミは身を持って様々な神を生み出しました

それは美しいものだけではなく、卑しく汚らわしいものすべてに対してです

人の糞尿の源は何か

まぎれもなく他の生命です

私たちは他の動植物の生命を食して生かされています

生きているのが当たり前なのではありません

生かされているのです

生命の生まれ変わりとも言える糞尿は、肥やしとなり豊かさを提供していきます

そして新たな生命を生み出します

生命は連鎖するのです

そうです

何ごとにも無駄というものはなく、あるのは神聖さだけなのです

例え糞尿であってもです

この世界に在るすべての物事には意味がある

古事記は、こうした豊かさを、私たちに教えてくれています

だからこそ、かつての日本人はあらゆる事象、すなわち八百万(やおよろず)の神々に祈りを捧げたのです

万物に神聖さが宿るならば、当然、あなたや私にも神聖さは宿っており、本来はいがみ争うものではなく、すべての存在は讃え合うものなのです

このような話を親から子へ自然に語り継いでいたかつての日本

貧しかったかもしれませんが、どこか人間味溢れており素敵な時代です

この後、イザナミは、苦しみ抜いた末亡くなってしまいました

まさに母の愛、命がけの出産でした

命をかけて生命を紡ぐ

どこか、現代に生きる私たちには欠けてしまっている大切な教えではないでしょうか

次回は、イザナミを失った悲しみのあまり黄泉の国(あの世)へ旅立つイザナギのお話です

古事記世界