中学歴史定期テスト対策

産業革命と資本主義、社会主義の誕生

産業革命と資本主義、社会主義の誕生

奈良
中学歴史定期テスト対策の第35回目です。
ヨーロッパから始まる技術革新。
それは産業革命と呼ばれ、人類に大きな進歩をもたらします。
ところが、それは恩恵ばかりではありませんでした。
教科書は148P~149Pです。

産業革命がもたらしたものは大量生産です。
従来の手工業から機械式の生産手段に変化したためです。
このことにより、労働者雇用者(こようしゃ)という関係が始まります。

そこから生まれたのが資本主義社会主義という思想です。

産業革命とは

奈良
きっかけはインド産の綿織物(めんおりもの)でした。
大航海時代以来、インドの綿織物がヨーロッパに流れ、大人気となりました。
やまと
綿織物がなぜ?
奈良
大人気の綿織物を、インドから輸入するのではなく、自国で生産しようとしたのです。
やよい
自国で生産したほうが安く済みますね。
奈良
ところが当時主流だったのは手工業(しゅこうぎょう)です。
「もっと楽に大量に生産出来ないだろうか」と考えたわけです。

「もっと楽に大量に生産出来ないだろうか」

こうしてヨーロッパでは技術改良に改良を加え、蒸気機関(じょうききかん)を作ることに成功します。

蒸気機関(じょうききかん)とは、蒸気で動くエンジンです。

燃料の石炭を用い、高熱の蒸気を利用しエンジンを動かします。

この蒸気機関の動力を使用し、機械を動かすことに成功し、綿織物を機械式で生産することに成功しました。

さらに技術者のワットは、蒸気機関に改良を加えます。
蒸気機関は瞬く間に、あらゆる産業に用いられ、人々の働き方に大きな変革をもたらしたのです。

やよい
手作業で行っていたことを機械が勝手にやってくれる。
すごい進歩ですね!
奈良
蒸気機関の代表的なもので、蒸気機関車があります。
黒煙をもくもく出し、人や物を遠くまで運ぶことができるようになりました。
やまと
す、すげえ!
奈良
蒸気機関の燃料である石炭炭鉱にも、蒸気機関が使用され、石炭の運搬などに使用されました。
やまと
自分の燃料を自分で運ぶのか。
やよい
人間の生活スタイルもだいぶ変わっていきますね。
奈良
まだ先の話ですが、ペリーさんが日本に来たときに乗っていた黒船。
これも蒸気機関で動く船です。
やよい
日本が鎖国をしている間に、外国はこんなすごいものを作ってしまったんですね。
やまと
そりゃ負けるよな。
奈良
生産手段と人の働き方、それに伴う人の生活スタイル。
このような経済と社会の仕組みの変化を産業革命(さんぎょうかくめい)と呼びます。

資本主義と社会主義

奈良
少し難しい話になります。
産業革命によって、社会には2つの考え方が生まれます。
資本主義と社会主義

産業革命によって、人の働き方が大きく変化しました。
雇用者(こようしゃ)と労働者という関係です。

従来の働き方は、手工業(しゅこうぎょう)です。
古くは家内工業、そして工場制手工業(マニュファクチュア)などがありました。

いずれにせよ手工業です。
作業効率が悪く、生産力もほとんどありませんでした。
しかし、産業革命により生産が機械式となったことで、作業効率が格段に上がりました。

工程別に人を配置し、流れ作業の仕組みも徐々に出来ていきます。

すると、多くの人を労働者として雇う必要性が出てきます。
産業の発展により、照明も使用され、夜間の作業も可能になりました。
多くの労働者を投入することで、より多くの製品を作り、儲けを出すことが出来るようになったのです。

資金力がある者(資本家)が労働者を雇い、自由に生産取引ができる仕組み資本主義(しほんしゅぎ)と言います。

ところが一方で、労働者の生活は非常に苦しいものでした。
休みもろくになく、長時間労働の低賃金。
集団で住み込みで働かされ、粗末な食事。
彼らの生活環境は非常に劣悪な環境でした。

このような中、マルクスは労働者のための社会実現を訴えました。

彼の思想は、多くの労働者に支持され、資本主義を批判する社会主義へと発展しました。

奈良
資本主義の弊害は、貧富の差が著しいことです。
金を増やせる人と金がない人との差は歴然たるものでした。
やよい
労働者にだって、自由な時間は欲しいし、ぜいたくしたい時もありますよね。
奈良
この資本主義と社会主義は、のちに世界を2つにわけて争うことになります。
ここでは、産業革命によって、この2つの考え方が生まれたとだけ覚えておきましょう。

発展するヨーロッパの社会

奈良
イギリスから始まった産業革命は瞬く間にヨーロッパ各国に広まっていきます。
同時に多くの国で議会制度や憲法が整えられた画期的な時代でもありました。
やよい
議会制度と憲法、そして産業革命。
近代化がいよいよ始まって行くんですね。
やまと
フランス革命やイギリス革命の成果だな。
奈良
特にイギリスは真っ先に産業革命を実現しましたから、近代化のスピードは著しかったのです。
国内の鉄道網が発達し、軍事力経済力を武器に海外の植民地獲得が進みました。
やよい
イギリスは鉄道発祥の地ですもんね。
奈良
イギリスでは早くも労働者に選挙権が与えられたりと、常に世界をリードしていく立場になります。
やまと
世界をリード。
かっこいい!
奈良
そして日本の近代化に大きな影響を与えることになるドイツ。
ドイツは鉄血宰相(てっけつさいしょう)と呼ばれるビスマルクにより統一され、強国へと成長していきます。
やよい
どんなふうに日本に影響を与えるのですか?
奈良
鎖国政策が終わり、日本は各国から不平等条約(ふびょうどうじょうやく)を押し付けられることになります。
やまと
不平等?
奈良
本来条約は対等なものです。
しかし、一方的に日本は不利な条約を結ばされることになります。
やよい
なぜですか?
奈良
単純に弱いからです。
鎖国政策を続けていたがために、世界の進歩に全く追いつけなくなった。
日本は外国に従うしかなかったのです。
やまと
そうだよね。米だの改革だのやってるときに、かたや蒸気機関だもんな。
奈良
この不平等条約を改正するために、明治の政治家は奔走することになります。
ある時、日本の政治家一行がヨーロッパ視察の際に出会ったのが、ビスマルクです。
やよい
ビスマルクと何かあったのですか?
奈良
不平等条約を解消するため、交渉して回った日本の一団に、ビスマルクは言いました。
「ただ、強くあれ、周りに舐められたくなければ強くあれ」
やまと
な、なんかシンプル。
奈良
しかし的を得た言葉です。
周りと対等に付き合いたければ、強くなるしかなかった。
日本はここから本当に強くなっていきます。
それはまた、いずれ話しましょう。