圧迫される幕府の財政
「犬将軍」と呼ばれた徳川綱吉の時代は、武力による政治から文治政治へ移行した時期です。
文治政治とは、学問の力により政治を行うことです。綱吉は学問好きで有名な将軍でした。
彼は儒学の中でも朱子学を特に重んじました。人を思いやる心、特に上下身分の関係に重きを置き、広く民衆にまで広めました。
その甲斐あってか、綱吉の時代は特に大きな争いがなく平和な時間を過ごしていました。
その中で華やかで力強い元禄文化が誕生し、庶民にも広く楽しめる芸能が増えました。
この頃の江戸は人口が100万人を越え世界有数の都市に成長します。ところが、華やかな文化の裏で、綱吉の時代になると幕府の財政が極端に悪化します。
原因は様々ですが、特に先の将軍家綱(いえつな)の時に起きた江戸の大火事による損失が大きな原因です。この大火事は明暦の大火(めいれきのたいか)と呼ばれ、江戸の大半を焼き尽くしました。
約10万人の人々が焼死したとされており、江戸城の天守を始め、多くの大名屋敷、都市部を焼失しました。当然復興には莫大な資金を要します。
こうした経緯から、江戸幕府の財政は次第に苦しくなっていきました。奈良 やまと やよい 奈良 やよい 奈良 やまと 奈良 徳川吉宗(とくがわよしむね)
奈良 徳川御三家徳川御三家とは、第二代将軍秀忠の兄弟の家系です。
尾張(愛知)紀伊(和歌山)水戸(茨城県)の主要地を治めました。
秀忠の家系を将軍家と言います。
家光、家綱、綱吉・・・と続いていきます。将軍家に跡継ぎがいない場合に、御三家から将軍が選ばれることになります。
やまと 奈良 やよい 奈良 やよい 奈良 徳川吉宗江戸の度重なる火事は紀伊徳川家の財政も圧迫していました。
各地の大名屋敷や家臣の屋敷も江戸に点在しています。
当然紀伊徳川家の屋敷も江戸にあります。
それらが焼失されれば建て直し。また焼失しては建て直す。
この繰り返しで多大な費用がかかりました。そのような時、紀伊徳川家の当主となった吉宗は、見事紀伊家の財政を立て直します。
それは、徹底した倹約(けんやく)によるものでした。元禄文化が花開く中、人々の暮らしは贅沢(ぜいたく)になりつつありました。
少し昔の生きるか死ぬかの時代は終わり、娯楽やオシャレにも気を遣い始めた時期です。そのような中、吉宗は着る服にもこだわらず、行事も質素に、当時3食が当たり前だった1日の食事を2食にする。
さらには無駄に多すぎる紀伊徳川家の役人をバッサリとリストラするなど大々的に改革を行ったのです。このような、無駄遣いを減らす政策を倹約(けんやく)と言います。
吉宗は倹約を徹底し、見事に紀伊徳川家の財政難を立て直したのです。
やよい 奈良 享保の改革(きょうほうのかいかく)
奈良 質素倹約のすすめ
紀伊徳川家の財政を立て直したように、江戸に置いても家臣や町民に贅沢(ぜいたく)を慎むようすすめました。目安箱(めやすばこ)
広く庶民の意見も取り入れようとした意見箱です。
吉宗は自分の周りの人間だけではなく、一般庶民の声を政治に生かそうとしました。上げ米(あげまい)の制
1万石につき、100石の米を大名から幕府に献上させました。約1%です。
代わりに大名たちは参勤交代を軽減され、江戸に滞在する期間を1年から半年に短縮されました。公事方御定書(くじかたおさだめがき)
江戸は人口が増え、それに伴いもめ事や事故も増えました。
それらの事件を裁く基準となる法律を定めたものです。
これを定めた人は、時代劇でも有名な「大岡越前(おおおかえちぜん)」です。サツマイモの奨励
中国から琉球(沖縄)経由で鹿児島(薩摩)に伝わったイモ。
日本中が飢饉(ききん※食料不足などで人が飢え苦しむこと)に襲われたときも、薩摩藩(さつまはん)では餓死者が出ませんでした。
これは薩摩に伝わったイモ「サツマイモ」が食料とされていたからです。
稲のように穂先に実るものではなく、土の中で育つイモは害虫からの被害もなくよく育ちました。
これに目をつけた吉宗は、サツマイモの栽培を奨励しました。大奥(おおおく)のリストラ
こちらは教科書には載っていませんが参考までに記載しておきます。大奥とは将軍以外の男性が出入りできない男子禁制の場です。
将軍の正室(妻)と側室(そくしつ※正妻以外の妻)やそれに仕える女中達が住む江戸城内にあったエリアです。
最も多い時期には1000人以上の女性が住んでいたそうです。この大奥に住む女性たちを吉宗は辞めさせたのでした。
つまりリストラです。ここで吉宗のユーモアが出るのですが、吉宗は美人な女性だけを辞めさせたのだそうです。
「美人なら、職を失ってもすぐに次の職を見つけられるし、嫁入りもしやすい」
と言うのが理由でした。実際吉宗の頃の大奥はもっと人数が少なかったと思われますが、それでも思い切ったリストラを行いました。
奈良 やまと 奈良 やよい やまと 奈良 やよい 奈良
